
重要文化財
観普賢経冊子
かんふげんきょうさっし
紙本著色・墨書/一帖 平安時代・12世紀
縦18.7cm 横11.4cm 五島美術館蔵
雲母刷りで文様を施した唐紙の冊子経本。『観普賢経』の終わりの部分(全体の約5分の1)が残るが、改装時に入れ替わったのか経典の内容はつながらない。また、雪の降る冬の夜、貴族の邸宅内の様子を描いた見開き頁があり、その上に経典を書写する。その見開き頁の前後の途中に、経典を書写せず『古今和歌集』巻第六「冬歌」所収の和歌2首(332番の坂上是則と331番の紀貫之)だけを散らし書きした頁がある。絵は和歌の内容や意味を表現しており、歌絵制作中の料紙を写経用紙に転用したものだろう。