
業平東下り図(伊勢物語富士山図) 尾形光琳筆
なりひらあずまくだりず(いせものがたりふじさんず) おがたこうりんひつ
紙本著色/一幅 江戸時代・18世紀
縦115.2cm 横47.3cm 五島美術館蔵
尾形光琳(1658〜1716)が、『伊勢物語』第九段「東下り」富士山の一節を描いた作品。主人公(在原業平)と童子、従者の一行が京都から東国へ下る途中、富士山の麓を馬に乗って通過する場面を描く。もと十二枚折屏風(六曲一双)に描かれたうちの一扇にあたり、それを掛軸に改装した作品というが詳細は不明。「法橋光琳」と書し、朱文方印「澗声」を捺す。江戸時代後期の絵師酒井抱一(ほういつ 1761〜1828)が編集した版本『光琳百圖』にも所載されるが、その図には本作にある落款がなく、本作の筆者を「尾形光琳」ではなく後世の画家とする説もある。