
新古今集抄月詠和歌巻 嵯峨本
しんこきんしゅうしょうげつえいわかかん さがぼん
紙本木版/一巻 江戸時代・17世紀刊
縦35.0cm 全長488.2cm(図は部分) 大東急記念文庫蔵
胡粉で純白に整えた厚い料紙の表裏に、雲母で梅・鹿・橋などの文様を摺り、その上に漆黒で『新古今和歌集』巻第四「秋歌上」の月を詠んだ歌9首を印刷した、大型の見事な巻子本。整版(一枚板の雕版 ちょうはん)であるため、版下書の連綿体が生かされ、「嵯峨本」の中でも最も光悦流の妙味を見ることのできる作品。他に色替り料紙に摺られた断簡がいくつか現存するが、巻子本として首尾完存しているのは本書のみ。惜しくも散逸した安田文庫(安田財閥の総帥、二代安田善次郎 1879〜1936)の旧蔵書。