紙本墨書／十九巻・附二巻　鎌倉時代・寛喜三年〜貞永二年（1231〜33）

［巻第十二］縦28.5cm　全長911.1cm（図は部分）　大東急記念文庫蔵

唐時代の詩人白居易（はくきょい　字・楽天　772～846）の詩文集。日本の漢詩文や『源氏物語』『枕草子』などに多大な影響を与えた。収録作のうち「長恨歌」「琵琶行」はあまりにも有名。本書は奥書によれば、唯寂房寂有、豊原奉重らが書写した本。朱墨で古訓、ヲコト点を配し、訂正箇所には白墨を塗る。白居易晩年の会昌四年（844）に、入唐僧恵萼（えがく　生歿年未詳）らが中国で写した本にさかのぼり、当時の本文を伝える箇所を見出せる貴重な資料。当文庫では、『白氏文集』『白氏後集』あわせて19巻と、江戸時代の補写本2巻を所蔵。巻二十八は狩谷棭斎旧蔵（『経籍訪古志』巻六）。