
重要文化財
平家物語 延慶本
へいけものがたり えんぎょうぼん
紙本墨書/十二帖 室町時代・応永二十六・二十七年(1419・20)
(各)縦25.2cm 横15.7cm 大東急記念文庫蔵
『平家物語』の古態を留める本。六巻十二帖。平家一門が壇ノ浦で滅亡した約百年後の延慶二・三年(1309・10)に、紀州(和歌山)・根来寺で書写された本を、同寺でさらに百年ほどを経た応永年間に書写したもの。奥書から多聞丸・融憲・有淳等、数名による寄合書(よりあいがき)であることがわかる。延慶の年号は『平家物語』の成立に近く、その複雑な成立過程を解き明かす可能性を秘めた資料として注目される。近世初期の豪商角倉素庵(すみのくらそあん 1571~1632)の旧蔵。