十二段草子
じゅうにだんぞうし
紙本墨書・著色/二冊 室町時代・16世紀
(各)縦34.0cm 横24.4cm 大東急記念文庫蔵
十二の章段からなる源義経(1159~89)と浄瑠璃姫の恋物語。京都の鞍馬山を出て金売り吉次の一行と奥州へ向かう牛若は、東海道矢作宿で長者の娘、浄瑠璃姫を見初め一夜の契りを結ぶ。その後、姫と別れて旅を続け、蒲原宿で病に倒れるが、駆けつけた姫(実は薬師如来の生まれ変わり)の看護で本復し再び奥州へと向かう、というあらすじ。本書は末尾を欠き、牛若が病に伏す場面で途切れている。本文は誤写が多く文字も拙いが、挿絵は良質な絵具で描かれる。室町時代の大型「奈良絵本」(彩色の挿絵を入れた古写本)の作例として珍重される。