絹本著色／六曲一隻　室町時代・15世紀

縦151.9cm　横幅292.8cm　大東急記念文庫蔵

「山水屏風」は、もとは平安貴族の邸宅を飾る調度品であったが、鎌倉から室町時代にかけて、真言密教系寺院で灌頂（かんじょう　阿闍梨から法を授かる儀式）の道場に用いられた。画面右の山荘に起居する高士を訪ねる馬上の貴人や、琴や荷を持った従者達は唐風の装束に描かれ、中国を舞台とした漢画風の山水屏風の遺例として注目される。こうした図様は京都・醍醐寺蔵本（重要文化財）に近似し、本作品も裏面に「醍醐／三宝院門跡所蔵」の墨書と三宝院の印を有するが、醍醐寺本にある色紙形は見られない。一扇ごとに青地に紅白の花菱紋の描表装を施す。