
重要文化財
紫紙金字華厳経 巻第六十一
ししきんじけごんきょう
紙本金泥/一巻 奈良時代・8世紀
縦26.7cm 全長827.2cm(図は巻頭部分) 大東急記念文庫蔵
深い紫色に染めた料紙に銀泥で界線を引き、金泥で八十巻本『大方広仏華厳経』を書写する。天平十三年(741)の聖武天皇の詔によって全国の国分寺に安置すべく制作された「紫紙金字金光明最勝王経」を中心として、「紫紙金字経」の遺品は奈良時代のものが多い。本巻は「紫紙金字金光明最勝王経」と同様に7世紀の中ごろ、官立の写経所「写金字経所」において書写されたものと考えられている。紫紙に映える端正な書体の金字は一字一字猪牙(ちょき)で磨かれ、今なお光輝を放つ。