紙本木版／一巻　高麗時代・寿昌元年（1095）

縦28.9cm　全長1916.8cm（図は部分）　大東急記念文庫蔵

『新訳華厳経疏』は唐の澄観（ちょうかん　738～839）による華厳経の解説書。巻末の刊記から、寿昌元年（1095）に高麗の僧義天（ぎてん　1055～1101）によって刊行された「義天版」と呼ばれる大蔵経（だいぞうきょう　仏教聖典の総集）の一つであることが知られる。義天は第11代高麗国王文宗の第4子で、自ら入宋して大部の章疏（経典の解説書）等の仏典を持ち帰り、また帰国後も宋、遼（契丹）、日本から広く仏典を収集して編纂、興王寺で刊行した。義天版の伝本は少なく、他に『華厳経随疏演義鈔』四十巻（重要文化財／奈良・東大寺蔵）が現存する。謹直な文字が墨色鮮やかに刷られる。