
重要文化財
蓬萊切 伝 藤原行成筆
ほうらいぎれ でん ふじわらのゆきなりひつ
紙本墨書/一幅 平安時代・11世紀
縦26.1cm 横16.4cm 五島美術館蔵
『拾遺和歌集』巻第五「賀歌」の部分を書写したもの。藍の繊維を群雲のように漉き込んだ雲紙(くもがみ)の上に雲母砂子(きらすなご)を撒いた装飾料紙が目を引く。平安古筆のなかでは比較的大きく明快な筆致で、一文字の単体と連綿(れんめん 文字を続けて書くこと)を交える。もとは肥前平戸藩主松浦家に、『拾遺和歌集』『後撰和歌集』のうち計5首を書写した巻物として伝わっており、江戸時代には「五首一紙」と呼ばれた。昭和九年(1934)、五枚に分割された際、松浦家の「蓬萊園」にちなみ命名された。