
升色紙 伝 藤原行成筆
ますしきし でん ふじわらのゆきなりひつ
紙本墨書/一幅 平安時代・11世紀
縦13.1cm 横11.4cm 五島美術館蔵
平安時代初期の歌人清原深養父(清少納言の曽祖父 生歿年未詳)の私家集『深養父集』の一部を書写した、現存最古の写本の断簡。線の細太の変化と散らし書きが特徴的で、平安古筆のなかでも特に穏やかで優美な筆致を誇る。近代以降は「継色紙」「寸松庵色紙」とともに「三色紙」として珍重する。料紙が升のような形であることに由来。全面に細かな雲母砂子を撒く。本紙上部の「古」の文字は、かつて藤原定家(さだいえ 1162〜1241)が所持していたときに付けた集付(しゅうづけ 歌集を明示するための書き込み)であり、『古今和歌集』に収載の意。