
黒織部沓形茶碗 銘 わらや
くろおりべくつがたちゃわん めい わらや
陶器/一口 桃山時代・17世紀
高7.8-6.5cm 口径13.8-10.2cm 底径6.4-6.0cm 重量381.0g 五島美術館蔵
桃山時代・17世紀前半に美濃(岐阜県)で焼かれた「織部焼」の黒茶碗のうち、絵文様のあるものを「黒織部」と称する。轆轤(ろくろ)成形したのち、全体を大きく楕円形に歪めた沓形茶碗。口縁部は大きく波がうねるように高低がつく。内面全体と外側面の一部を残して鉄釉を浸し掛けし、掛け残したところに縦筋と丸や三角形の抽象文様を描き、その上から長石釉(ちょうせきゆう)を掛ける。黒い発色は、引き出し黒の技法による。底部には輪高台を削り出し、「×」の窯印を刻む。高台脇に漆で「わらや」と書いたのは、花押から千利休の孫である宗旦(そうたん 1578~1658)といわれる。