
信楽一重口水指 銘 若緑
しがらきひとえぐちみずさし めい わかみどり
陶器/一口 桃山時代・17世紀
高16.5cm 口径17.5-16.3cm 胴径17.8cm 底径17.2-16.8cm 五島美術館蔵
「信楽焼」(滋賀県の陶器)は、室町時代末期からの侘茶の流行にともない、茶人がとりあげた和物茶陶の代表。なかでも「鬼桶」(おにおけ)と呼ばれる水指は、農民が使用した苧麻(からむし)の糸を入れた苧桶(おおけ)から転じたものといわれ、武野紹鷗(じょうおう 1502~55)の好み道具として「紹鷗信楽」の名称がつく。本品は、底部から口縁部にかけて垂直に立ち上がり、やや小振りな点が、通例の口が開き大形の「紹鷗信楽」と異なる。底面には、轆轤(ろくろ)の天板に軸を固定する際の枘穴(ほぞあな)の痕跡(下駄印)がある。真上から見ると三角形に造形され、胴部の中央に縦の篦目が残る。小さな長石(ちょうせき)の粒が吹き出た赤褐色の地肌に、暗黄緑色の焼成中の灰が溶けた自然釉がたっぷりと掛かる。