
重要文化財
法華経 巻第五 藤南家経
ほけきょう とうなんけきょう
紙本墨書/一巻 奈良時代・8世紀
縦26.5cm 全長967.7cm(写真は巻頭部分) 五島美術館蔵
奈良時代に分かれた藤原氏の四家のうち、藤原武智麻呂(むちまろ 680〜737)を祖とする南家で行なわれた「法華経」書写のひとつ。明治初期に「巻第八」が存在していたと伝わるが、現在確認できるのは「巻第三」(安田文庫旧蔵、現個人蔵)と本巻のみ。「正倉院文書」中の天平十九年(747)にある「南藤原夫人家解申暫請経師事神門臣諸上卅日法花経也」の記録から、この年の書写かと考えられる。朱の書き入れや点(訓読のための朱点)は平安時代に付されたものか。