
国宝
白描絵料紙理趣経(目無経)
はくびょうえりょうしりしゅきょう(めなしきょう)
紙本墨書・墨画/一巻 鎌倉時代・建久四年(1193)
縦25.3cm 全長456.3cm(図は部分) 大東急記念文庫蔵
白描(墨線のみ)の物語下絵のある料紙に胡粉を施して銀界線を引き、『般若理趣経』を書写した経巻。下絵の人物の目鼻の多くが描かれていないことから、「目無経」と呼ぶ。裏には金銀切箔や野毛を撒く。建久四年(1193)の奥書によると、後白河法皇(1127〜92)が某禅尼と企画していた物語絵巻の制作が、法皇の崩御(建久三年)により未完のまま打ち切られ、法皇の菩提を弔うために、残った下絵を写経料紙に転用したものとわかる。物語の内容は未詳。写経の筆者は、平清盛の弟頼盛の子静遍(じょうへん 1166〜1224)、梵字は信西入道(藤原通憲)の孫の京都・醍醐寺の成賢(じょうけん 1162〜1231)。