
白瓷灰釉長頸瓶 猿投窯
しらしかいゆうちょうけいへい さなげよう
陶器/一口 平安時代・9世紀
高30.0cm 口径13.5-13.4cm 胴径20.6cm 底径12.4-12.0cm 五島美術館蔵
「猿投窯」は、愛知県名古屋市の東側、豊田市との間の丘陵地20キロ平方メートルにひろがる須恵器(すえき 古墳時代から奈良・平安時代にかけて高温の還元炎で焼く)と白瓷(灰釉陶器)の大窯業地。「白瓷」は植物灰を用いた釉薬を人工的に施釉した灰釉陶器もしくは白胎の無釉陶器である。長頸瓶は肩の張った胴部に長い口頸部をもつ器で、須恵器の器形。本品は、灰白色の焼き締まった良質の胎土を用いる。肩に施された淡緑色の灰釉は艶を失っているが、流れ落ちた雫は光沢がある。ラッパのように大きく開いた口頸部や、なで肩の器形は、猿投窯の白瓷生産が最盛期を迎えた9世紀後半の姿を示している。