
蘭溪道隆墨跡 「風蘭」偈
らんけいどうりゅうぼくせき 「ふうらん」げ
紙本墨書/一幅 鎌倉時代・13世紀
縦28.3cm 横58.6cm 五島美術館蔵
蘭溪道隆(1213〜78)は、臨済宗大覚派の祖。寛元四年(1246)に入宋していた月翁智鏡(げつおうちきょう)の誘いを受け、弟子らと来朝した。幕府の執権北条時頼(1227〜63)の招きで鎌倉に入り、のちに建長寺を開いた。亀山上皇より受けた「大覚禅師」の諡号(しごう 死後、生前の徳行に対して贈る名)は、日本で最初の禅師号といわれる。中国宋時代の書家張即之(ちょうそくし 1186〜1266)の影響を受けた強くきびきびとした筆跡が特徴。本幅は、「深い谷にある蘭は、人知れずその香りが春風によって伝わるものである」という意味。